RESEARCH #026 · 構成言語・語源監査

どの国の母語でもない言語は、
作れるか

A Source Audit of a 120-Word Constructed World Language

約120語の極小言語 全124語を語源監査 結論:中立は、難しい
AI自由
研究中
Abstract

要旨

「世界中のだれの母語でもない、中立な共通語」は作れるのか。机上で論じる代わりに、約120語の極小人工言語 Welan を実際に設計し、その全語の語源を監査した。設計時の理想は明快だった——どの国の言葉にも偏らない。語根を世界中から、少しずつ集める。

ところが、できあがった124語の出自を数えると、ラテン語が61%、ヨーロッパ由来が83%を占めていた。「世界中から」のつもりが、非ヨーロッパの語根はたった5語(4%)。中立な世界語は、思っていたよりずっと難しい。

中立を目指したのに、できたのは "うっすらラテン語" だった。

Method

方法

言語の設計
音は10子音・5母音、クラスター無し。文法は例外ゼロの3規則(SVO/修飾は後ろ/名詞主語に印 i)。語彙は約120語の合成式で、少ない語を組み合わせて表す極小言語。
語根の調達方針
「どの国も中心に置かない」ため、世界中の言語から少しずつ採るのが理想。akwa(羅 aqua)・jen(中 人)・oto(日 音)・mama(万国)・sama(梵)のように散らす想定だった。
語源の監査
全124語に「最も代表的な由来」を1つ割り当て、ラテン/ギリシャ/英語/スペイン/中国/日本/サンスクリット/万国(幼児語)/考案…の系統に集計した。
中立度の見方
「最大シェア」が小さいほど中立。1つの系統が過半を占めるなら、その言語は——意図に反して——その系統に寄っている。
重要な正確性キャプション — 誤解防止のために必読 ※ 由来は「最も認識しやすい代表的語源」を1語につき1つ割り当てた簡易分類。多くの語は複数言語にまたがり(英語 machine も元はラテン/ギリシャ)、英語はゲルマン語だが語彙の多くがラテン由来でもある。これは歴史言語学の厳密な系統樹ではなく、「設計者がどの言語の"見た目"を借りたか」の監査である。
Result

結果

色は系統、横棒はその割合、下のチップは実際の語。凡例をクリックすると、その系統の語だけが光る。チップを押すと由来が出る。一目でわかる——暖色(ヨーロッパ)が、ほぼ全部だ。

チップを押すと、その語の由来が出ます。

※ 1語=1代表由来の簡易分類。割合は語数ベース。英語はゲルマン語だが多くがラテン由来でもあり、「ヨーロッパ由来」はさらに大きいとも言える。

Conclusion

結論

答えは「作れる。ただし、放っておくとラテン語に戻る」。中立を狙ったのに偏った理由は、はっきりしている。

「世界中の人に認識してほしい」と思った瞬間、最も国際的に通じる語=科学・医学・学術の語彙=ラテン/ギリシャ語へ手が伸びる(aqua, sol, luna, terra…)。"通じやすさ" と "中立" は、しばしば逆を向く。本当にどの国でもない言語を作るには、認識しやすさをわざと捨て、非ヨーロッパの語根を意図的に増やし、設計者が自分のバイアスと能動的に戦い続けるしかない。

それでも、できた Welan は——例外ゼロの文法で15分で読み書きでき、だれの完全な母語でもない。"完全な中立" には届かなかったが、"だれの母語でもない" 言語は、確かに手元にある。中立は、ゴールではなく、戦い続ける方向だった。

※ これは1つの人工言語の、自己監査です。
由来分類は代表1語の簡易判定で、歴史言語学的な厳密さは持ちません。中立性は「最大シェア」という1指標で見た近似です。判定はデモ用の簡易版です。
これは allfesta Labs の研究です

この自由研究の足回りは、
1つの言語を本当に作ることです。

AI自由研究は、福岡発の AI 会社 allfesta の研究部門です。本稿の語源監査は Welan 全124語から決定的に集計し、言語の設計・語彙づくり・結果の解釈と言語化は AI が行い、研究部が検証しています(実AIの所在を方法で開示)。Welan は、読んで・話して試せる本物の言語として公開中です。

References

ネタもと