要旨— 漂着物には、出身地がある
豪雨や台風のあと河口・海岸に流れ着いた流木が「どの山の、どの斜面から来たのか」を、DEM の流向解析で逆探索した。情緒のある問いの裏で動くのは、流域管理・土砂災害・再造林未済のための真面目なエンジンだ。
漂着点を選べば、そこに水を集める流域と、流木を出しやすい給源斜面(急傾斜 × 伐採跡 × 植生喪失)が出る。漂着点を変えると、流域はまるごと切り替わる——隣の河口の流木は、別の山から来ている。
「最も流木を出す斜面」は、しばしば人の手が入った跡地だ。
方法— D8 で流域を復元し、上流を逆探索する
- D8 フロールーティング
- 各セルの水は8方向で最も急に下る隣へ流れる、として河川網を組む。
- 流域の逆探索
- 漂着点(河口)から逆隣接をたどり、そこへ水が集まる全セル=流域を求める。クリック点は流下方向にたどって河道(漂着点)へスナップする。
- 給源スコア
- 流域内の急傾斜セルを給源候補とし、伐採跡と NDVI 低下(植生喪失)で加点。崩れやすく木が出やすい斜面ほど高得点。
- 里帰りルート
- 最大の給源から漂着点まで、流向をたどって描く。
結果— 地図をクリックして、漂着点を選ぶ
青が流域、赤が流木を出しやすい給源斜面、黄の点が最大給源から漂着点へ流れる「里帰りルート」。地図をクリックすると、その地点から流れ下った先(漂着点)にスナップし、その流域を表示する。
青の流域=漂着点へ水が集まる範囲、赤=流木を出しやすい急斜面。地図クリックで漂着点を変更。D8フロールーティングの簡易版(窪地処理は簡易)。
結論— 出身地を知ることは、要対策斜面を知ること
漂着点を変えると流域がまるごと切り替わる。同じ海岸でも、隣の河口の流木は別の山から来ている。給源は急傾斜に集中し、そこに伐採跡が重なると流木供給ポテンシャルが跳ね上がる。
給源ポテンシャルに占める伐採跡の割合は流域ごとに大きく違う。これは「流木の里帰り」という情緒の話であると同時に、要対策斜面の優先順位づけにそのまま使える——本来の真面目な用途だ。
この研究の足回りは、
本気のAI技術です。
AI自由研究は、福岡発の AI 会社 allfesta の研究部門です。本稿の流域・給源は公開データ(地理院DEM・Sentinel-2)から決定的に算出され、フロールーティングと給源スコアの設計、結果の解釈・言語化は AI が行い研究部が検証しています(実AIの所在を方法で開示)。本体では、地域と生活のための実用的な AI を作っています。
ネタもと— 一次資料・前提
- A国土地理院 標高タイル(DEM)
流向・流域の復元に使用。 - BEuropean Space Agency / Copernicus, Sentinel-2 L2A
NDVI低下(植生喪失)の評価に使用。 - CO'Callaghan & Mark (1984), The extraction of drainage networks from digital elevation data
D8 フロールーティングの古典。