要旨— 大きいほど、立っているだけで違法になる
全長50m級の怪獣が福岡市中心部を歩くとき、(1) ビルを踏み壊さずに通れる経路はあるか、(2) 頭頂が福岡空港の制限表面(航空法上の障害物制限)を突き抜けないか を経路探索で評価した。普段は交わらないPLATEAUの建物高さと空港制限表面を、初めて重ね合わせる。
結果、空港の水平表面(半径4km・標高45m)の内側では、身長50mの怪獣は地面に立つだけで頭が制限表面を突き抜ける。航空法上、制限表面を超える物件は原則設置できない。つまりこの怪獣は「違法な航空障害物」であり、大きいほど合法に立てる面積はゼロへ近づく。
怪獣映画には出てこない制約——身長は、航空法に違反する。
方法— 高さフィールドと経路探索
中心部を約40mグリッドに分け、各セルに PLATEAU 建物の最大高さをスタンプして高さフィールドを作る。怪獣が跨げる高さ(全高×係数)以下の建物は踏み越えられ、超える建物は「踏み壊し」として高い通行コストを与える。A* で上陸地点(北=湾側)から目標(天神/博多駅)まで最も破壊の少ない経路を求め、各セルと経路で頭頂高度(標高+全高)を空港制限表面と比較する。
- 高さフィールド
- PLATEAU LOD1 の建物最大高さを40mグリッドにスタンプ。地表は地理院DEM。
- 経路探索
- 8近傍 A*。跨げない建物に破壊コストを付与し、最小コスト経路を求める。
- 制限表面判定
- 頭頂 = 標高+全高。施行規則の標準寸法から生成した水平/円錐/進入表面の床を超えれば「突き抜け」。
- 合法直立
- 頭が制限表面以下に収まるセルの割合(橙=突き抜けるセル)。
結果— 全高と目標を変えて、上陸させる
全高・跨げる高さ・目標地点を変えると、上陸経路・踏破した建物・頭が突き抜ける範囲が変わる。赤い建物は跨げない高さ、青い線が経路、緑の点が歩く怪獣、橙の面が「頭が制限表面を突き抜けるセル」だ。
結論— 怪獣に優しい街路は、ほとんど無い
空港の水平表面の内側では、身長50mの怪獣は立つだけで制限表面を突き抜ける。身長を上げるほど「頭が制限表面より下に収まる面積」は急速にゼロへ近づく。これは大きさに比例して効く、れっきとした制約だ。
一方で建物の踏み壊しは大きさによらず常に起きる。中低層が密集する中心部では、跨げる高さを低く取ると無被害で通れる経路はほぼ消える。「最も破壊の少ない経路」ですら、相当数の建物を踏破する。怪獣に優しい街路は、広幅員の道路と低層街区にしかない。
この研究の足回りは、
本気のAI技術です。
AI自由研究は、福岡発の AI 会社 allfesta の研究部門です。本稿の経路探索と制限表面判定は公開データ(PLATEAU・制限表面)から決定的に算出され、A*とコスト設計、結果の解釈・言語化は AI が行い研究部が検証しています(実AIの所在を方法で開示)。本体では、地域と生活のための実用的な AI を作っています。
ネタもと— 一次資料・前提
- AProject PLATEAU(国土交通省)福岡市2024 CityGML LOD1
CC BY 4.0。建物の高さフィールドに使用。 - B国土地理院 標高タイル(DEM10B)
地表標高に使用。 - C航空法 第49条(物件の制限)、同施行規則(制限表面)
障害物制限の基準。