要旨— 同じ中心部でも、日照は数倍ちがう
博多の地上を約40mメッシュに分け、建物と地形で太陽光線を遮りながら、地上1.5m(ベンチの座面)での年間日照時間を推定した。問いは素朴だ——一番いいベンチと、一番ダメなベンチはどこか。
結果、同じ中心部でも日照時間には 約12倍 の差があった。ビルの北側・谷間には、年間を通じてほとんど日の当たらない地点が存在する。最も日なたの「特等席」と最も日陰の地点を、緯度経度まで特定した。
タダで一番いい日なたは、たいてい誰の所有でもない公共空間にある。
方法— 高さフィールドへの太陽光線マーチング
中心部を約40mグリッドに分け、各セルに「地表標高+建物高さ」の天端絶対高を持たせる。各月の代表日について日中を30分刻みで太陽の高度・方位を計算し、各地上点から太陽方向へ高さフィールドを辿る。途中の天端が光線高を超えれば日陰とし、日照時間を積み上げて代表日平均×365で年間値を推定する。
- 対象
- PLATEAU 福岡市2024 LOD1 の中心部建物。地表は国土地理院DEM。
- 太陽位置
- 赤緯と時角から高度・方位を算出(均時差・大気差・経度補正は簡略化)。
- 日照判定
- 地上1.5mから太陽方位へマーチし、天端が光線高を超えたら日陰。
- 集計
- 通年=各月代表日、冬=冬至前後、夏=夏至前後。代表日平均×365で年間推定。
結果— 通年・冬・夏で日照地図が変わる
通年/冬/夏で切り替えると、日照ヒートマップが変わる。青いほど日陰、黄色いほど日なた。黄の「特等席」が最も日が当たる地点、青の「最も日陰」が一年で最も日の当たらない地点だ。
推定年間日照時間(代表日平均×365、地上1.5m)。住所は出さず、緯度経度と衛星写真リンクで位置を示す。太陽位置は均時差等を簡略化。対象は PLATEAU 福岡市中心部+地理院DEM。
結論— 日照は、不平等に配られている
中心部という同じ便利さの中でも、座る場所を数十m変えるだけで、冬の体感は大きく変わる。ビルの北側・谷間は冬にほとんど日が当たらず、広場・川沿い・南向きの開けた区画に日なたが集中する。
日当たりは快適さだけでなく、太陽光発電・冬の凍結・ヒートアイランドにも効く。「なんとなく座っていた」公共空間を、データで一度測り直すと、街の見え方が少し変わる。
この研究の足回りは、
本気のAI技術です。
AI自由研究は、福岡発の AI 会社 allfesta の研究部門です。本稿の日照は公開データ(PLATEAU・地理院DEM)から決定的に算出され、光線マーチングの設計と結果の解釈・言語化は AI が行い研究部が検証しています(実AIの所在を方法で開示)。本体では、地域と生活のための実用的な AI を作っています。
ネタもと— 一次資料・前提
- AProject PLATEAU(国土交通省)福岡市2024 CityGML LOD1
CC BY 4.0。建物の高さフィールド作成に使用。 - B国土地理院 標高タイル(DEM10B)
地表標高に使用。 - C建築基準法 第56条の2(日影規制)
都市日照の制度的背景として参照。