要旨— 離陸した瞬間から、サンタは違反している
クリスマス・イブの夜、サンタがドローン式ソリで福岡市中心部の全建物にプレゼントを配ると仮定し、(1) 一晩で完了できるか (2) 航空関連法令の要件をいくつ満たさないか を、実在の3D都市データと航空法の制限表面で定量化した。
対象は Project PLATEAU が実測高さで3D化した中心部 14,680棟。各屋根を配達先とし、風(ウィンドトライアングル)とバッテリーのエネルギー収支で所要時間・充電回数を、各配達点で人口集中地区(DID)・夜間・30m離隔・空港制限表面・飛行禁止区域を判定した。結果、サンタは離陸直後から複数の要件に恒常的に抵触し、かつ投下と巡回の時間だけで一晩を大きく超過する。
速いから間に合うのではない。現実の制約で殴ると、到底間に合わない。
方法— 配達ノード・飛行モデル・適合性判定
配達先は PLATEAU 福岡市2024 LOD1 の各建物の屋根中心。デポ(博多駅付近)から最近傍ヒューリスティックで全棟を一筆書きにし、区間ごとに対地速度と消費エネルギーを積算する。物理は ドローン航路シミュレーター のモデルを移植した。
- 配達ノード
- PLATEAU LOD1 の建物フットプリント重心(屋根接近点)14,680点。
- 巡回路
- デポから最近傍法で全棟を一筆書き。最短ではないが規模感は変わらない。
- 飛行モデル
- 対地速度 Vg = √(Va² − 横風²) + 追い風成分。横風が対気速度以上なら経路維持不能。消費電力は向かい風・横風・積載で増加(配るほど軽くなる)。累積が1電池分を超えるごとに交換1回。
- 適合性判定
- 各配達点で DID(国土数値情報2020)・夜間飛行・人/物件30m離隔・空港制限表面(施行規則の標準寸法から生成)・飛行禁止区域(外国公館/防衛/原子力+周囲おおむね300m)を判定。
- 一晩の定義
- 福岡・冬至前後の日没→日の出 ≈ 14.2時間。投下のホバリング時間も加算する。
結果— スライダーを動かして、サンタを飛ばす
下のシミュレーターで巡航高度・速度・風・航続・投下時間を変えると、巡回路・所要時間・バッテリー交換回数・違反内訳がその場で変わる。光点がサンタ、線の色は違反種別(桃=DID/橙=空港制限表面/赤=禁止区域)。
結論— サンタは領事館で捕まる前に、もっと手前で詰む
福岡市中心部はほぼ全域が DID。サンタは1棟目の屋根に近づいた瞬間、夜間 × DID × 30m離隔を同時に踏み、巡回中ずっと違反し続ける。博多側は福岡空港の水平表面(半径4km・標高45m)に入り、巡航高度を上げるほど制限表面の超過が増える。
そして何より、投下と巡回と充電を足すと 所要時間は一晩を大きく超える。外国公館等は中心部モデル域の西側(域外)にあり、サンタは領事館で御用になる前に、夜間・DID・30m・時間というもっと根本的なところで詰んでいる。
この研究の足回りは、
本気のAI技術です。
AI自由研究は、福岡発の AI 会社 allfesta の研究部門です。本稿のシミュレーションは公開データ(PLATEAU・国土数値情報・制限表面)から決定的に算出され、巡回路・物理・違反判定の設計と結果の解釈・言語化は AI が行い研究部が検証しています(実AIの所在を方法で開示)。本体では、地域と生活のための実用的な AI を作っています。
ネタもと— 一次資料・前提
- AProject PLATEAU(国土交通省)福岡市2024 CityGML LOD1
CC BY 4.0。建物フットプリントと実測高さを配達ノードに使用。 - B国土数値情報「人口集中地区(DID)データ」2020(国土交通省)
DID 上空判定に使用。 - C国土地理院 標高タイル(DEM10B)
対地高度・地形クリアランスの算出に使用。 - D航空法 第132条の85・86、同施行規則/重要施設周辺の小型無人機等飛行禁止法
夜間・DID・30m離隔・制限表面・飛行禁止区域の判定基準。 - EAllFesta ドローン航路シミュレーター
風(ウィンドトライアングル)・バッテリーのエネルギーモデルを移植。